災害廃材と丹後ちりめんから生まれた新しい命のかたち
『作り手と使い手が共創し、思い出が持続するスツール』
とっても長い名前のスツール。このコンセプチュアルなスツールがどのように誕生したのかを少しご紹介したいと思います。
遡ること2年。2023年の秋のことです。
プロジェクトマネージャ-である一般社団法人DESIGN WEEK KYOTO実行委員会の代表理事 北林 功さんからCo-Design Challengeへの参加が呼びかけられました。ちょうどその頃、私たちも万博への関わりやインテリア領域への挑戦を模索しているタイミングでしたので、すぐさま手を挙げ、参画を決意しました。同じ頃、京丹後市にある家具メーカー溝川の代表 高杉さんもその呼びかけに呼応し、
その後北林さんの声掛けにより、デザイナーのO-lab.inc 綾さん、テキスタイルデザイナーの田代さんもメンバーに加わり、プロジェクトが進み始めました。

プロジェクトマネージャーである北林さんは2016年から京都府内のものづくり企業の現場を開くオープンファクトリーを牽引する第一人者です。長くものづくりの現場を見てきた中で、もっと作り手の顔が見え、使い手と対話をするなかでより良いものづくりができるのではないかと感じていたそうです。また本当の意味でのサステナブルは資源を循環させるだけでなく、愛着を持って長く使い続けられる仕組みが必要だとも。そんなスツールができれば世界中の方々に新たなものづくりを提案できるのではと、プロジェクトのコンセプトが決まりました。
2024年1月1日 能登半島地震

では実際にどんなスツールにしていくのか?新年の始まりに発生した能登半島地震を受けて、メンバーの高杉さんから能登地震で倒壊した家屋の廃材を製品に生まれ変わらせて、記憶をつなぐのはどうかという提案を頂きました。センシティブな内容である一方、その意義の大きさにメンバー一同チャレンジすることを決意。本当に様々な方のお力をお借りし、無事能登の災害廃材を調達する目途が立ち、実現が見えてきました。
残反活用で地域資源をつなぐ

その議論と同時並行で座面の検討も進めていました。以前、与謝野町にある丹後ちりめんの織元、臼井織物さんに伺った際にわずかな傷や汚れで売り物にならず廃棄されてしまう残布の存在を知り、そのことを思い出しました。その残布を座面の生地として再利用し、刺繍で記憶を想起させる図柄を施していこうという方針が固まりました。
こうして、大筋の方向性が固まってきました。でも検討しなきゃいけないことはまだまだ山積みです。デザインはどうする?思い出をつなぐ刺繍の図柄とは?続きは次の投稿でお話しましょう。